政府は、デフレ脱却を目的とした新たな経済対策として、低所得世帯に対して1世帯あたり10万円の給付を実施することを表明しました。
この給付金の対象となるのは、2024年6月3日時点で「住民税非課税世帯」もしくは「住民税均等割のみ課税者である世帯」です。
しかし、この二つの世帯の違いについて理解している人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯の概要や年収目安、そして2024年度の10万円給付金の詳細について解説します。
住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯の定義
- 住民税非課税世帯とは、住民税の均等割と所得割がどちらも非課税の世帯
- 住民税均等割のみ課税世帯とは、所得割は非課税だが均等割は課税されている世帯
- 住民税は、一定の所得がある場合に課税される均等割と、所得に応じて課税額が変わる所得割の2種類で構成
住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯の違いは、住民税の構成要素である均等割と所得割の課税状況にあります。
住民税非課税世帯は、この両方が非課税となる世帯を指します。
一方、均等割のみ課税世帯は、所得割は非課税ですが、均等割は課税されている世帯のことを指します。
つまり、均等割のみ課税世帯は、一定の所得はあるものの、所得割が課税されるほどの高い所得ではない世帯と言えます。
住民税の均等割は、地方自治体の財源確保のために設けられた制度で、所得の多寡に関わらず一定額が課税されます。
一方、所得割は、所得に応じて課税額が変動する仕組みになっています。この二つの課税方式の組み合わせにより、住民税の負担が決定されるのです。
住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯の違いを理解することは、自身の世帯が10万円給付金の対象となるかどうかを判断する上で重要なポイントとなります。
住民税非課税世帯の要件(大阪市の場合)
- 生活保護法の規定による生活扶助を受けている方
- 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万3999円以下)である方
- 前年の合計所得金額が、一定の算式で求めた額以下である方
住民税非課税世帯の要件は、自治体によって多少の差異がありますが、大阪市の場合を例に見ていきましょう。
まず、生活保護法の規定による生活扶助を受けている方は、住民税非課税世帯に該当します。次に、障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万3999円以下)である方も、住民税非課税世帯の対象となります。
さらに、前年の合計所得金額が、一定の算式で求めた額以下である方も住民税非課税世帯に該当します。
この算式は、同一生計配偶者または扶養親族の有無によって異なります。
同一生計配偶者または扶養親族がいる場合は、「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+21万円+10万円」以下、いない場合は「35万円+10万円」以下の合計所得金額であることが条件となります。
給与所得者の場合、年収100万円以下であれば、この条件を満たすことになります。
住民税均等割のみ課税世帯の要件(大阪市の場合)
- 同一生計配偶者または扶養親族がいる場合、前年の合計所得金額が「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+32万円+10万円」以下
- 同一生計配偶者および扶養親族がいない場合、前年の合計所得金額が「35万円+10万円」以下
住民税均等割のみ課税世帯の要件も、自治体によって異なりますが、大阪市の場合は以下のようになっています。
同一生計配偶者または扶養親族がいる場合、前年の合計所得金額が「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+32万円+10万円」以下であることが条件です。
一方、同一生計配偶者および扶養親族がいない場合は、前年の合計所得金額が「35万円+10万円」以下であることが求められます。
給与所得者の場合、年収100万円以下であれば、この条件を満たすことになります。
住民税均等割のみ課税世帯の要件は、住民税非課税世帯の要件と比べると、若干緩和されています。
これは、均等割のみ課税世帯が、一定の所得はあるものの、所得割が課税されるほどの高い所得ではない世帯であることを考慮したものと言えます。
ただし、この要件を満たしているかどうかは、前年の合計所得金額を正確に把握する必要があります。
自身の世帯が住民税均等割のみ課税世帯に該当するかどうか、確認が必要な場合は、お住まいの自治体の担当課に問い合わせることをおすすめします。
給与所得者の場合の非課税限度額(大阪市の場合)
- 単身世帯は、前年の合計所得金額と総所得金額が45万円以下の場合に、個人市府民税・森林環境税・所得割が非課税
- 同一生計配偶者および扶養親族の人数によって、非課税限度額が変動
給与所得者の場合、前年の合計所得金額と総所得金額が一定の限度額以下であれば、住民税が非課税となります。
大阪市の場合、単身世帯は、前年の合計所得金額と総所得金額が45万円以下であれば、個人市府民税・森林環境税・所得割が非課税となります。
ただし、同一生計配偶者および扶養親族がいる場合は、その人数に応じて非課税限度額が変動します。
例えば、同一生計配偶者が1人いる場合、非課税限度額は80万円となります。扶養親族が1人増えるごとに、非課税限度額は35万円ずつ増加していきます。
給与所得者の場合、年収から給与所得控除額を差し引いた金額が、前年の合計所得金額および総所得金額となります。
自身の世帯が住民税非課税世帯または均等割のみ課税世帯に該当するかどうかを判断する際は、この非課税限度額を目安にすると良いでしょう。
公的年金等受給者の場合の非課税限度額(大阪市の場合)
- 65歳未満の単身世帯は、前年の合計所得金額と総所得金額が45万円(公的年金等収入金額105万円)以下の場合に、個人市府民税・森林環境税・所得割が非課税
- 65歳以上の単身世帯は、前年の合計所得金額と総所得金額が45万円(公的年金等収入金額155万円)以下の場合に、個人市府民税・森林環境税・所得割が非課税
公的年金等受給者の場合も、前年の合計所得金額と総所得金額が一定の限度額以下であれば、住民税が非課税となります。
大阪市の場合、65歳未満の単身世帯は、前年の合計所得金額と総所得金額が45万円(公的年金等収入金額105万円)以下であれば、個人市府民税・森林環境税・所得割が非課税となります。
一方、65歳以上の単身世帯は、前年の合計所得金額と総所得金額が45万円(公的年金等収入金額155万円)以下であれば、個人市府民税・森林環境税・所得割が非課税となります。
公的年金等受給者の場合、年齢によって非課税限度額が異なるのが特徴です。
これは、65歳以上の公的年金等受給者に対する公的年金等控除額が、65歳未満の受給者よりも大きいことが理由です。
公的年金等控除額は、公的年金等収入金額から差し引かれ、前年の合計所得金額および総所得金額を算出します。
そのため、65歳以上の公的年金等受給者は、65歳未満の受給者と比べて、より多くの公的年金等収入を得ていても、住民税が非課税となる可能性があるのです。
2024年度の10万円給付金の対象と実施時期
- 2024年6月3日時点で住民税非課税世帯もしくは住民税均等割のみ課税者である世帯が対象
- 2023年度に実施された7万円または10万円給付の支援を受けた世帯は対象外
- 要件に該当する世帯は、2024年夏頃に10万円の給付が予定されている
2024年度に実施される10万円給付金の対象は、2024年6月3日時点で住民税非課税世帯もしくは住民税均等割のみ課税者である世帯です。
ただし、2023年度に実施された7万円または10万円給付の支援を受けた世帯は、今回の給付金の対象外となります。
この給付金は、低所得世帯の生活支援を目的としたものであり、コロナ禍における経済的な困難に直面する世帯を支援するための措置と言えます。
要件に該当する世帯は、2024年夏頃に10万円の給付を受けることができる予定です。
給付の申請方法や具体的な時期については、現時点では明らかになっていませんが、対象となる世帯には、自治体から案内が届くものと思われます。
給付金を受け取るためには、申請が必要になる可能性もあるため、自身の世帯が対象となるかどうか、早めに確認しておくことをおすすめします。
10万円給付金の対象となるかの確認方法
- お住まいの自治体のホームページや担当課に問い合わせて、住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯の要件を確認する
- 前年の合計所得金額と総所得金額を確認し、非課税限度額と比較する
- 対象となる可能性がある場合は、自治体からの案内に注意し、必要な手続きを行う
自身の世帯が10万円給付金の対象となるかどうかを確認するには、まずお住まいの自治体のホームページや担当課に問い合わせて、住民税非課税世帯と均等割のみ課税世帯の要件を確認することが重要です。
要件は自治体によって異なる可能性があるため、正確な情報を入手することが必要不可欠です。
次に、前年の合計所得金額と総所得金額を確認し、非課税限度額と比較します。
給与所得者の場合は、年収から給与所得控除額を差し引いた金額が、公的年金等受給者の場合は、公的年金等収入金額から公的年金等控除額を差し引いた金額が、前年の合計所得金額および総所得金額となります。
これらの金額が、お住まいの自治体の非課税限度額以下であれば、住民税非課税世帯または均等割のみ課税世帯に該当する可能性が高いと言えます。